本日の一冊
本について語りつつ、冷蔵庫の牛乳の賞味期限も気になる男──あんり収穫祭です。
今日の一冊は、仕事に追われ続けて「もう徹夜でやるしかない」と自分を追い込みがちな人におすすめ。
中島聡さんの『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』です。
書誌情報
著者:中島 聡
出版社:文響社
発売日:2016/6/3
単行本(ソフトカバー):288ページ
元マイクロソフト伝説のプログラマーが教える「速さ」の本質
本書の著者・中島聡さんは、Windows95開発チームの中心人物。
「ドラッグ&ドロップ」「右クリック」という概念を世界に広めた、まさに“伝説のプログラマー”です。
40年の実践知から導き出したのが「ロケットスタート時間術」。
要は「仕事は最初の2日間で8割終わらせろ」という、シンプルかつ過激な方法論です。
私はこれを読んで、冷蔵庫掃除もロケットスタートでやってみました。
開始2分で8割終わったものの、前世紀のヨーグルトを発見して戦意を失いました。
面白かったポイント
1. 日本人の「なるはや病」を疑え
中島さんがまず批判するのは「なるはやでお願いします文化」。
意味のない形式だけを守って、結局仕事が遅くなる。
アメリカでは「意味を考えて判断する」ことが多いそうです。
警察にスピード違反で止められて「息子が熱を出していて」と言えば、状況次第で許されることもある。
──日本でこれを言ったら、「なるはやで病院へ」と返されて違反者切符を切られるのがオチでしょう。
2. 徹夜はIQを下げる
徹夜するとIQが「1標準偏差」下がる。つまり学習障害レベルになる。
私の場合、徹夜明けにコンビニでおにぎりを買おうとして、レジで「お会計は冷やし中華で」と言ったことがあります。
要するに、寝不足は人をバグらせるのです。
3. プロトタイプを作れ
仕事は必ずやり直しになる。だから最初から100点を狙うな。
まずは速攻で“形”を作れ。そこから改良すればいい。
ビル・ゲイツも「問題は切り分けて考えろ」と言っていたそうです。
私は「ダイエット」と「お菓子依存症」を切り分けようとしましたが、成功したのはお菓子の袋を切り分けることだけでした。
4. ラストスパート志向は地獄
多くの人は「最後に頑張れば間に合う」と思っている。
でも、これこそが“仕事が終わらない理由の9割”。
中島さんはこう言います。
「崖から飛び降りながら飛行機を組み立てろ」
私は飛び降りる前に高所恐怖症でフリーズしました。
勇気は必要ですが、つまり「考えながらやるな、やりながら考えろ」ということです。
5. ロケットスタート時間術の実際
- 仕事の最初の2割の期間で、8割の成果を出す
- そこでできなければ「危機的状況」と認識して調整する
- 1日の最初の2時間半で、その日の仕事の大部分を終わらせる
- 夜は翌日のタスクリストを作って寝る
このリズムを作ることで、常に「仕事を追っている感覚」が生まれる。
朝が最強の時間なのは、メールも来ず、話しかけられないから。
──私の場合、朝は牛乳の消費期限だけが話しかけてきますが。
読むとどうなる?
『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』を読むと、こんな変化が期待できます。
- 「徹夜で頑張る幻想」から解放される
- 「嫌なことは先に潰す」勇気が持てる
- ロケットスタートでむしろ余裕が生まれる
そして何より、「やりたいことをやるために、やりたくないことを最速で終わらせる」視点が手に入るのです。
まとめ
中島聡さんの言葉を借りれば、人生は一度きり。
だからこそ「やりたいこと」をやり続ける時間を生み出さなくてはならない。
私たちは仕事の奴隷ではない。
早く終わらせて、さっさと楽しいことを始めるべきなのだ。
…と、この原稿を書き終わった瞬間、次の締め切りがやってきます。
どうやら、私の人生も「無限ロケットスタートモード」に突入したようです。
